財団法人エネルギー総合工学研究所数年前の紀要からの引用です。地熱発電、海外ではどんどん伸びているのに日本では1997年橋本内閣の時代に予算外されて放置されてるんですね。

わが国は米国やインドネシアと並び,世界の三大地熱資源大国である。エネルギー資源のほとんどを輸入に頼っているわが国にとって,地熱資源は世界に誇り得る数少ない地下エネルギー資源である。しかも,再生可能エネルギー資源であり,安定電源であり,二酸化炭素(CO2)排出量からみてもクリーン電源である。

わが国は第一次石油危機の翌年(1974年)に「サンシャイン計画」をスタートさせ,第二次石油危機の翌々年(1980年)にはNEDO(当時は新エネルギー総合開発機構)を発足させた。その中で,地熱は常に主要な開発対象であった。わが国の地熱開発に関する組織的な取り組みは1990年代半ばまで,先進的であり,世界をリードしていた。その結果,1990年代前半には,地熱発電※1設備容量が倍増している。しかし,バブル崩壊(1991年)やアジア通貨危機(1997年)を経て,わが国の経済は不況期に入った。1997年には,税収不足等を背景に, 「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネ法) 」で,地熱が「新エネルギー」から除外された。その結果,地熱は研究開発の停止を始め,様々なインセンティブを失い,地熱発電開発市場が一挙に冷え込むこととなった。小規模な開発を除き,その状態は今日まで続いている。地熱は2008年4月の新エネ法施行令改正によって, 「バイナリー発電」 ※2に限り, 「新エネルギー」に復帰したものの,市場はまだ冷え込んだままである。

一方,世界では地球温暖化や原油価格の高騰を受けて,エネルギーのパラダイムシフトが進み,地熱発電開発が急増している。とくに,最近の特筆すべき傾向は,ドイツやオーストラリアなど,火山や高温地熱資源に恵まれていない国々までが,深度3.5~4.5 kmに至る大深度の掘削を行って,地熱発電開発を積極的に推進していることである。このような世界的潮流にあって,わが国は一歩先んじていた過去の栄光にもかかわらず,最近10年間,世界の主要地熱資源国の中で,唯一,地熱発電開発を停滞させてきた。この状況は海外にも不思議に映り,2008年6月6日の上智大学講演会で,地球環境研究者レスター・ブラウンをして, 「日本は何故地熱発電を使わないのか?」と発言させた

このようになったのは東京電力の圧力の結果なのでしょうか? 行政と政治の怠慢なのでしょうか? このレポート2008年のようですが、この時点での国家別の地熱発電計画量、1位は米国、以下フィリピン、メキシコ、インドネシア、イタリアと続き日本は第5位です。

1999年から2006年までの増減率(世界8位以内)でみると、米国27%増、フィリピン3%増、メキシコ26%増、インドネシア45%増、イタリア3%増、日本2%減、ニュージーランド3%増、アイスランド148%増。90年代に世界のトップを走っていたのなら今頃地熱技術もどんどん輸出で来ていたかもしれないですね。勿体ない。

そして日本の時間軸で見た地熱発電量の推移。残念な状況がよく分かります。

Chinetsu

日本での問題の理由と克服方法については次のように述べられています。

  1.  国の政策的導入目標が0となっている
  2.  初期投資リスクに対する国のコスト優遇策が他国に比べて低い(例えば,蒸気フラッシュ発電をRPS[Renewable Portfolio Standard]法の対象外としているのはわが国のみ)
  3.  許認可優遇策が低い(ドイツの「再生可能エネルギー法」やインドネシアの「地熱法」のような一括法がなく,多数の個別法の適用を受けるため,長い開発リードタイムを要する
  4.  地熱技術開発が2002年度に停止された(主要地熱資源国ではわが国のみ)

等々による。また,わが国特有の障壁として,ほとんどの火山地熱地域を網羅した国立公園の開発規制と2007年3月現在28,154個も存在する温泉泉源との摩擦の問題がある。例えば,最近の我々の研究によれば,日本の150℃以上の熱水系資源分布域の81.9%が国立公園の特別保護地区・特別地域にあって,開発が規制されている (4)。これらほとんど全ての障壁は政策的に克服可能である。 

太陽光発電では中国など外国製がコストで優勢ですが地熱発電に政府がインセンティブ政策を実施すればGDPへの貢献は大きいのではないかと思います。